2013年3月13日水曜日

『武士の家計簿』(2010)@ハワイ国際映画祭2010

【2010-10-28のログを転載】



2010年12月4日公開予定の堺雅人・仲間由紀恵主演映画「武士の家計簿」を一足先にハワイ国際映画祭(HIFF)で観ることができました。
映画祭は最終日でした。ロードショー前の作品を見られるのも映画祭の魅力ですね。

「武士の家計簿」は、堺雅人演じる加賀藩の御算用者(経理係)猪山直之の半生を幕末から明治初期までを追って描いた映画です。猪山直之は、自らのそろばんの才能を生かし、借金まみれの猪山家を建て直しつつ幕末に揺れる社会の中を家族と共に生き抜いて行きます。この映画の売りは何と言っても古書店で偶然発見された168年前の家計簿を元にしていて、この猪山直之とその家族が実在したと言うことです。映画の中で、武士の見栄や誇りをかなぐり捨て、家財道具を売り払い、節約生活で一家のピンチをくぐり抜けて行くのですが、それが本当にあったことであるというのはとても考え深いです。古書店でその家計簿が発見されるまで猪山直之は歴史に埋もれてしまった下級侍の一人です。いうなれば、武家世界の中では今で言うサラリーマンとあまり変わらない位置取りの普通の人です。そんな人が実は歴史の荒波にもまれながらも自らのあらん限りの能力を使い家族を支えていたというのは感動を覚えますし、お金持ちでもなく普通に生きる僕らにも勇気を与えてくれるように思います。

映画としてもその節約・倹約生活を涙涙の感動話にしたてあげず、コメディータッチで描いているので見ていて笑える、純粋に楽しめるものにもなっています。僕は、これをハワイで見ていたわけですが、僕が笑うところで他のローカルのお客さんも笑っているのを聴くと「あぁこういう笑いは万国共通なのかなぁ」と感慨深かったです。まぁでも日系のおじいちゃんおばあちゃんが多かったせいかもしれません。(笑)

ちょっと残念だったのは、せっかく仲間由紀恵が妻の役を演じているにもかかわらず、あまり目立って無かったことです。陰で支える妻役を演じさせられ過ぎてしまったのかも知れません。それに比べるとシーンが少ない中、存在感を示した松坂慶子はやはり凄い女優なのでしょう…。

総合的には、笑いだけでなく家族愛にホロッとくるところもあり、「昨今まれに見る名作!」とまでは行きませんが、映画館で見て損はない良い映画だと思います。
ハワイ国際映画祭でも、上演後に拍手が自然と起こり、皆さん満足して劇場を出て行った様子でしたよ。


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