2013年3月13日水曜日

『フード・インク』(2008):食の裏側に興味があるのなら…

【2011-02-12のログを転載】


フードインク


昨今、工場見学番組流行ってませんか?もしそういう番組が好きで食の裏側に興味があるのなら…観ることをお勧めするのが『フード・インク』(原題:Food, Inc.)です。

日本では、1月22日より公開が始まったドキュメンタリー映画ですが、アメリカ合衆国では2008年公開で日本でも話題となった『コーヴ』(原題:The Cove)と共にアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品です。結局受賞したのは『コーヴ』ですが、映画の出来映えで言えば圧倒的に『フード・インク』の方が上だと僕は思います。

『コーヴ』は、イルカ漁を扱った映画ですが、その中でイルカ肉を食べることの危険性訴え、偏見に満ちていますが、ある種、日本の「食」に警鐘を鳴らしています。かわって『フード・インク』は、アメリカ合衆国の「食」の危険をストレートに扱った作品です。

映画のタイトルにある「インク(Inc.)」は、「Incorporated」の略で「法人」、平たく言えば「会社・企業」という様な意味です。なので、オリジナルの英語タイトルからは、今、米国の「食」と「企業」が深く繋がっていることが伝わってきます。そして、その内容はと言えば、食肉産業と穀物産業に注目し、巨大企業によっていかにコントロールされているか、農家の人々がどれだけ厳しい情況に置かれ、力を奪われてしまっているかという現状を扱っています。

これを観ると日本に農業協同組合があることのありがたみを感じると思います。米国では、農業従事者は農業企業大手と直接契約を結び、その契約に従って働いている場合がほとんどとなっています。資本主義に従う企業にとって、基本として目の前の利益が優先されます。この映画を観ると、それが突き詰められていくとどうなってしまうのか、ということを米国の現状を通して理解することが出来ます。映像の中には、見るに堪えないシーンや信じがたいシーンがいくつもあります。僕の友人は、これを観て以来、マクドナルドなどのハンバーガー・チェーンで食事をしなくなり、スーパーではミンチ肉を買わなくなりました。なので、観るには少々勇気がいるかと思います。

ですが、この映画が良いところは、そんなおぞましい農業の現状と同時に、オーガニック食品や自然な環境で家畜を育てている農家などに取材をして、今始まっている新しい希望や可能性も伝えているところです。そして、最後には農業に関わっていない一般の消費者に何が出来るのかということも伝えています。

食の多くを輸入に頼る日本にとって、映画が伝えるものは対岸の火事ではないわけです。このドキュメンタリー映画でテレビでは知ることの出来ない、もう一歩深い食の裏事情をぜひ観てみてはいかがでしょうか。

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