2013年3月11日月曜日

『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007):狂気の魅力

【2008-01-25のログを転載】



久しぶりに映画館で映画を見てきました。
選んだのは、「Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street」(邦題:スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師)です。

ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督作品です。
この映画の元は、ミュージカル作品なので映画もミュージカルのスタイルで進んでいきます。ジョニー・デップが初めて歌うということで少し話題になった気がします。

舞台は19世紀のロンドン。ジョニー・デップは、主人公である殺人鬼スウィーニー・トッドを演じます。スウィーニーは、元々は妻と子のいるベンジャミン・バーカーという名の理髪師でしたが、その妻に恋した悪徳判事ターピン(アラン・リックマン)により、無実の罪をきせられてオーストラリアの牢獄に送られてしまいます。ターピン判事への復讐を誓い、脱獄したベンジャミン・バーカーは、名前をスウィーニー・トッドと変えて、ロンドンに舞い戻ります。
理髪店のあったフリート街の店舗の1階では、大家でありロンドンで1番不味いパイを焼くミセス・ラヴェット(ヘレナ・ボナム=カーター)が変わらず店を構えていました。スウィーニーに恋心を抱くミセス・ラヴェットの助けを借りて彼は、復讐の機会を得るべく、店舗の2階で理髪店を開業します。「How about a shave, mister?(ダンナ、髭剃りなんてどうですか?)」、愛用のカミソリを片手に彼は歌います。しかし、復讐の狂気に冒されたスウィーニーの刃は、無関係な来客者へも及びます。それと同時に美味しくなったと評判の上がるミセス・ラヴェットのミート・パイ…。
復讐心と狂気の織りなす物語の結末はいかに!?っといったストーリーです。


この映画は、日本では「R-15」指定が付いてるのもうなずける、血しぶきの飛ぶグロテスクなシーンが沢山ありますし、ミート・パイの描写もえぐいです。ただティム・バートン監督らしいと言えばらしい映画です。黒をベースにしたゴシック調の暗い色調に血の赤が映え、全体的にグロテスクではありますが、完成した世界観を提示してきます。あとは、それを好むか好まないかによって評価は分かれるのではないでしょうか?

僕自身は、「好まなかった」方に入ります。そもそもミュージカルがベースであるがために歌が入り、ストーリーの流れが緩慢で冗長な物語に感じてしまいました。そして、ティム・バートンらしいユーモアが影を潜める変わりに、しつこく繰り返されるグロテスクなシーンのにも辟易としてしまいました。
あとは、なんと言っても「ミート・パイ」。これを見たら、しばらくミート・パイは、食べられません。人によっては、食事もとりたくなくなるかも知れないので、デートでディナーなんて夜には見ない方がいいでしょうね。

ただ、こういった映画に需要がありそうだとも思います。
主人公の判事への復讐心は、現状社会へと拡大していきます。この狂気の発想というのは、誰の心の中にも宿りえるものだと思います。今、こう書いていて思い当たるのは、戸越銀座で16才の少年が起こした通り魔事件です。「誰でもいいから斬り殺してしまいたい」という自暴自棄な欲求を抱えていた少年は、どこかこの映画のキャラクター・スウィーニー・トッドとかぶるものがあるように感じます。現状社会には、他にもそうした狂気を心にくすぶらせている人がいるのではないでしょうか?ティム・バートンは、もしかしたらそうしたものを感じて映画を作ったのかも知れません。
そう考えると、この映画は、そんな狂気に繋がる感情の発散口になりそうです。映画を見ることで、スカッとすることはよくあることですよね。スウィーニー・トッドの凶行が陰鬱とした感情を抱える人の「身代わり」となるかも知れません。ただ、アメリカであったように「マトリックス」を真似て銃乱射事件を起こしてしまうといった、都合の良い解釈をされて間違った方向への感化にも繋がる可能性がないとも言えません。映画と現実は微妙な関係で成り立っています。

僕は、ホラー映画が得意じゃないので、こういった感想ですが、好きな人が見るとどういった感想を持つのでしょうね。気になるところです。。。


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