2013年3月26日火曜日

『クラウド・アトラス』(2012):人種と性別の超越



クラウド・アトラス (Cloud Atlas)』は、『マトリックス』のウォシャウスキー姉弟と『ラン・ローラ・ラン』で有名なトム・ティクヴァ監督によるSF大作です。主要キャストには、トム・ハンクス、ハル・ベリーやヒューゴ・ウィーヴィング、ヒュー・グラントなど豪華な俳優陣が揃っています。

【あらすじ】
1849年の奴隷貿易から文明崩壊後の2346年まで、主要人物が性別や人種の壁を越えて輪廻転生を繰り返し、時代や場所も違う6つの物語を同時進行的に絡め合わせてストーリーは進行します。この映画での大きな問いは「人=魂は、変われるのか?」です。

【オススメ度:★★★★☆】
6つの物語が絡み合う複雑な構成なので、それについて行けないと余り面白くないかも知れません。そして、前半はコツコツとそれぞれの時代に登場する人物像を描くので、遅く感じるかも知れません。しかし、それが後半に向かうに従い物語のペースは加速していき6つのバラバラに思える物語が1つに集約していきます。見終わる頃にはある種の爽快感が待っている…そんな映画だと思います。アメリカだけでなくドイツやシンガポールなど多国籍資本の映画のせいか、ハリウッド映画的ではないロマン溢れるSF映画である所もオススメ度が高い理由です。

【注目ポイント:人種と性別の超越】
この映画の面白いところは、主要俳優陣が6つの物語の中で全く違う役を演じるのですが、その際に、特殊メイクをして人種や性別を超えて違う役を演じている点です。多少無理がある場合もいくつかあります。例えば、韓国の女優ペ・ドゥナが、ある時代では白人女性だったり、白人の俳優が、未来ではアジア系と思われる設定(私には人型の宇宙人にしか見えませんでした…)だったりする時は、何かおかしさを感じます。でも、ここには生物学的には間違いであるにも関わらず固定観念として信じてしまいがちな人種や男女の壁というものを相対化させ、人間とは何かを問いたい監督側のメッセージが読み取れます。それに、難しく考えなくても誰どの役をやっているのかに注意して見るとまた楽しいと思います。


【おまけ情報 1】
手塚治虫の漫画を読んだ世代なら、映画を見てピンと来るかと思いますが、映画の構成の仕方が手塚治虫の大作『火の鳥』にとても似ています。なので、映画を見る前にちょっとでも読んでいると、イメージしやすく映画の複雑な構成にもついて行きやすいと思います。もちろん見終わった後にこの漫画を読んでも楽しいと思います。








【おまけ情報 2】
映画マニアの方には、ぜひ古い映画でしかも低予算なB級映画ですが『ソイレント・グリーン (Soylent Green)』(1973)を見ることをオススメします。近未来の物語のテーマとこの映画がほぼ同じで、両方見たらかなりの通と言えるかと思います。










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